相続の順番

歳をとればとるほど、お悔やみごとの話を聞く機会が増えるものです。
兄弟が多い方は高齢になるほど、誰かしらを失っていくと言われます。
先日、ご兄弟から相続した不動産を売却したいとの相談を受けました。
ご相談くださった方は90歳を迎えたご長男、結婚しないまま亡くなった次男の家を売却してご兄弟で分けたいと言われました。
ご兄弟は全部で5名、そのうち存命されているのが3名、三男もすでに亡くなっているとのことです。三男には子供が2名あり、相談者のご長男も代襲相続のことはご存じでした。
次男が亡くなって1年になる頃で、相続登記もこれからというところでしたので、登記手続きに平行して売却活動を行ったところ、すぐに買手が見つかりました。
めでたし、めでたし、のところに、ご長男の奥様から疑問の相談がありました。
司法書士が作成した遺産分割協議書の権利者に、亡くなった三男の奥様の名前があるのはなぜでしょう?とのことです。
代襲相続は、亡くなった方の権利を直系卑属(子供や孫)が引き継ぐもので、配偶者には引き継ぐことができません。ご長男夫妻もしっかり理解されていたので疑問に思われたようです。
ここは考え込んでも埒が明かないので、司法書士にたずねてみたところ、こんな返答が
「三男さんは、次男さんの翌々月に亡くなっているんですよ」
なんと、次男が亡くなって1ヶ月半ほどで、三男が亡くなっていたのです。
次男が亡くなった時に三男は存命だったので、今回のケースでは代襲相続にはなりません。三男が相続した財産を、その法定相続人がまた相続するので、配偶者と子供2人に権利があります。高齢者同士の相続ならではのあるあるです。
この内容をご長男夫妻に説明したところ、
「三男の奥さんは本当にいい人で、相続の権利があって本当に良かった」と、ご夫妻とも大変喜んでいらっしゃいました。仲の良い兄弟だったことが偲ばれ、こちらも気持ちが温かくなる良い相続でした。
このケースでは、思い違いも良い方向に決着していますが、思い違いが相続に禍根を残すこともあります。思い込みで相続を進めていかないよう、状況を正しく認識する注意は必要ですね。