海外居住者が相続した不動産、売ったらどうなる?

最近受けた相談にこんなものがありました。
『兄弟で相続した不動産を売却したい、弟は海外で暮らしているが売買できますか?』
結論から言うと『できます』
「ただ、ハードルが高いですよ~」と言わせていただいています。
日本に外国人が増えたように、海外で活動する日本人も増えているのでしょう。
このやり取りをすることが多くなりました。
海外に居住している方でも、当たり前に相続登記をすることができます。
同じように、不動産の所有権移転登記もできます。が、しかし、でも、本人確認や印鑑証明書に替わる手続きがめんどいのなんの…。(相続登記もめんどいことに変わりなし!)
居住している国と日本との国交や条約によって、やることも、できることも違っているので、海外の方との不動産売買が増えた現在でも、個人の方には難しいことだらけです。
何より難しいのが『非居住者が売主の場合における買主の源泉徴収義務』
これは手続きが難しいのではなく、ご本人や回りの方々にご理解いただくのが難しいのです。(主に心情的に)
まず、この制度は「海外に居住する方(非居住者)」の所得に対し、日本国内で確実に課税し、納税されることを目的としたもので、主に買主に対して税の徴収義務を課す制度です。
つまりは、海外に居住する不動産の売主から税金を徴収するのが難しいから、買主は代わりに源泉徴収して税金を納めてね、と言う仕組みです。
文章で見ると簡単に感じますが、買主が納める「税金に相当する金額」を差し引いて売買するため、売却価格を相場より安くされたと受け取ってしまう方が多いのです。
売主がきちんと理解していないと、納得できないご親族が金額だけを持ち出して「不動産屋に騙された」と騒ぎだしたり、売主を責めたりすることも後を絶ちません。
また、売主本人もせっかく相続した財産を詐欺被害に遭ったように感じてしまい、自分を責めたりするので、とてもハードルが高いのです。
相続は、感情と決まりごとが切り離せないものです。
どこに住んでいる、誰であっても、自分の相続をきちんと理解し、正しく対処していきたいものです。