農地だって信託したい
2025/05/31

5㎏で2,000円台の備蓄米が世間を熱狂させる、令和の米騒動真っ只中の今日この頃。
言われてみれば「そうなのか」と思いますが、『農地』は家族信託することができません。
食料の安定供給のために、農地はとても重要な土地です。
そこで「農地法」によって、農地の保護を目的とした、さまざまな規制をかけています。
この中に、農業に従事していない子ども等に農地の管理を託すことができない、というものがあります。当たり前と言えば、あたりまえ です。
また、これまで懸命に守ってきた農地を、農業に従事する人に引き継いでもらいたいと考える方もたくさんいます。
こうした方々に農地を「農地のまま」信託することができるのはご存じでしょうか?
それが「農地信託制度」です。
農協(農業協同組合)や農地中間管理機構を受託者として、農地を農地として信託する制度です。この制度は、農地法第3条の許可が不要なので、スムーズな信託が可能です。
農地の所有者が高齢で、耕作する体力がなくなり、農地を放棄する懸念がある場合や、農地を相続した人が農業従事者でない場合などに利用でき、農地の有効利用を維持しつつ、管理の負担を軽減できます。
ただし、この制度を利用できるのは、農地の所有者が将来、農地の売却や農地を転用する意思がない場合に限られます。また、信託契約の内容や目的は明確に定める必要がありますし、受託者への報酬などの費用がかかります。
農地信託制度は、農地を有効活用するための制度であり、相続対策に直接的な効果はありませんが、家族の負担を減らし、農地を農地として維持できることが大きなメリットです。
これからは、耕せない農地を放棄するのではなく、託してみるのもいいかもしれませんね。