思い出は期限付き その①

2023/05/13
思い出は期限付き その①

「主人のお母さんが住んでいた家を売却したいんです」

GWも終わった頃、優しそうな奥様が少し困った様子でお店を訪ねて来られました。お話を伺うとお義母様が亡くなってから、もうすぐ2年になるとのこと。

誰も住んでいない家を持っているのは、火事や泥棒など思っていたより心配で、固定資産税もかかってくる。心労と負担が大きいのでご主人の妹さんと奥様はすぐにでも売却したいが、ご主人が了承してくれない。さて、どうしたものか。

ご主人を説得する提案として「空き家(被相続人の居住用財産)の特別控除」をご説明し、その日奥様はお帰りになりました。

この制度は一定の条件を満たせば、相続した空き家を売却した際に3000万円の特別控除が受けられるものです。ストレートに言えば、売却利益3000万円までは税金(不動産譲渡税)を取りませんという庶民にとって大変ありがたい制度です。

ただし、【相続開始日から3年を経過する日の年の12月31日までに売却する】という期限があるのです。春の終わりに2年を向かえるこの方に残された時間はあと1年半。売却を完了するためには、もっと焦っていただきたい時間しかありません。

その②に続きます。