正しく知りたい「リースバック」

最近、テレビのCMでも、よく耳にするようになりました。
「リースバック」聞いたことはありますか?
自宅を売却する契約と同時に、その不動産の賃貸借契約を結んで、その後は家賃を払いながら同じ家に住み続けるというサービスのことです。
その「リースバック」の契約に関する相談が、全国の消費生活センター等に寄せられており、ここ数年増加しているのをご存じですか?
2024 年度の相談件数は200件を超え、契約当事者の約7割が70歳以上という、高齢者にとって要注意案件であることもご存じでしょうか。
もちろん、どんな制度にもメリットとデメリットがあるもので、
・⾃宅を売却することで、まとまった資⾦を⼀度に得ることができる。
・固定資産税や修繕費などの負担がなくなる。
・通常の不動産売却とは異なり、周囲に知られにくい。
・法⼈契約の場合、事業⽤不動産をリースバックすることも可能。
といったメリットがあります。
介護施設への入居や子供の家に移り住むまで、一時的に賃貸住宅へ入る必要がある方や、所有より賃貸の方がメリットのある事業所などにはとても魅力あるサービスです。
ただ、デメリットもあります。
・⼀般的に、リースバックでの売却価格は相場よりも低くなる。
・売却後に家賃を払い続ける必要があり、家賃を滞納すると、退去を求められる可能性がある。
・契約内容によっては、住める期間が限定される場合がある。
・買い戻しを希望する場合、売却時よりも⾼い価格になる。
しかも、契約として大きなデメリットとして以下の2点があります。
〇契約内容が複雑で、理解しにくい。
〇自宅を不動産業者に売却した場合、クーリングオフができない。
内容を理解しないまま契約し、家族が気付いた時はすでに自宅が売却され、リースバックが始まっていたとか、解除しようにもクーリングオフができないので、多額の違約金を払わなければならず、解除できないといった問題が多発しているのです。
そのうえ、家賃の改定で支払えない金額になり、退去せざるを得なくなる方や、そもそも、入居期間が定められた契約で、期限が来たと退去を迫られるケースもあります。
ご自宅は、住人にとって住み慣れた我が家で、家族にとって、住む方の最後を守ってくれる大切な財産です。生きている時の介護費用や、亡くなった後の葬儀費用の「あて」になることもあります。残された家族の相続財産にもなります。
全てが悪い制度はありません。
リースバックも必要な方が、正しく使うと、とても良いサービスです。
でも、必要ない方が理解しないまま使うと、ご自宅が「負」の財産になってしまう可能性もあります。
不要のトラブルを起こさないように、契約する前に、家族や友人等の信頼できる方に相談し、できるだけ一人で対応しないようにしましょう。
少しでも不安を感じたり、不明な点があれば、早めに消費生活センター等に相談しましょう。