捨てていいモノ?だめなモノ?

相続した空き家を片付けています。捨ててはいけないモノってどれでしょう?
「不動産のプロ」からの質問です。
①家を建てた(買った)時の「土地と建物」の契約書と領収書
②建てた(買った)建物の建築確認証と設計図書
③亡くなった方が名義人の「土地と建物」の権利証
④亡くなった方が名義人の「土地と建物」の登記識別情報(登記簿)
⑤金融機関が発行した「住宅ローン完済」の証明書
⑥リフォーム等の記録や設備(キッチン・トイレ等)の説明書
正解は、①・②・⑤・⑥ です。
上記の6項目、全部重要そうに思えたり、全部不要に思えたり、間違って捨ててしまう方が大勢いらっしゃるのですが、捨てていいのは、③と④です。
③の権利証と④の登記識別情報は、名義人が亡くなった時点で効力が無くなっており、相続した方が登記すると、有効な新しい権利証等が作成されます。そのため、故人の記念に残しておく以外に使うことがありません。
『売却してしまうので、もう関係ないと思いました』との理由で
捨てられてしまうことが多いのが、①と⑤ですが、この2つは「最重要書類」です。
②と⑥は、あればなお良し、無くても私たちが多少のフォロー(完全ではありませんよ)ができるものですが、①と⑤は失くすと、売却に余計な費用が生じてしまいます。
先ず、①は「土地と建物」を取得(購入)した時の費用を証明するものです。
前回も出てきた「不動産譲渡税」には、税金の対象から経費を除くことができます。この経費に「土地と建物」を買った時の費用が含まれるのです。
「建物」については、経過した年数に合わせた減額(長年使えば価値が下がりますからね)がありますが、土地は価値が下がらないので『全額』経費にすることができます。
相続した不動産の場合、前所有者の所有期間を引き継ぐので、ほとんどの方が長期譲渡になり、税率は売買価格の約2割ですが、不動産は価格が大きいことから、経費が増えると税金は数十万単位で変わってきます。
ただし、この「経費の承継」は、親から子への一代限りなので、孫が引き継ぐことはできません。
次に⑥の「住宅ローン完済の証明書」ですが、そもそも持ってちゃいけません。
ローンを完済したら、この書類を法務局に提出して『抵当権』を消さないとならないからです。この書類があるということは、金融機関に抵当権が残っている状態になっています。
お金を返済し終わったら、抵当権を消すために、金融機関は証明書を発行してくれます。
自分の土地・建物にかかっている抵当権なので、自分で消さなくてはなりませんが、証明書を受け取ったところで「手続きが終わった」と勘違いして、そのままにしてしまう方が結構いらっしゃるのです。
失くしてしまったら、金融機関に再発行をお願いするしかないのですが、完済から時間が経てば経つほど再発行が難しくなり、相続人では手続きできず、司法書士へ依頼しなければならなくなるケースもあります。そうなると時間も費用も余計にかかります。
年末の大掃除やお正月の家族会議の後は、遺品整理に着手される方が増える時期です。
ちょっとした思い違いで大事なものを処分してしまわないよう、事前に書類等はチェックしておくことをお勧めします。